☆店長のヒミツ部屋☆

記事一覧

金融危機の背景4

◎ドル離れと経済危機の相関性
ドル離れと今の経済危機は関係あるのでしょうか?
これは大ありでしょう。
ロシアがルーブルで原油を売る、イランが円・ユーロで原油を売る等々の動きは、「ドル需要が減る」ことを意味しています。
つまり、ドル下げの強力な圧力になる。
そして、米国債や株を買っても、ドルが下がってしまえば損をすることになる。
ドル離れのピークはここ10年で二回ありました。
一回目は、ユーロが導入された1999年、そしてフセインが「原油をドルで売らない」と宣言した00年秋。
アメリカのITバブルは00年から01年に崩壊しましたが、これは偶然でしょうか?
今回の経済危機直前から動きを見てみましょう。
・06年6月、ルーブル建て原油取引開始
・06年12月、ユーロ、現金流通量でドルを超える
・07年6月、プーチン「ルーブルを世界通貨に」宣言
・07年12月、湾岸協力会議2010年通貨統合目標維持宣言
・07年12月、イラン原油のドル建て決済中止
・08年1月、ソロス「ドル国際通貨時代の終焉」宣言。
これらすべては「ドルの下げ圧力」になります。
すると、世界の投資家は、「アメリカに投資するのはやめよう」と考える。
そして、アメリカへの資金流入がとまればどうなるでしょうか?
そう、ITバブルも住宅バブルもはじけることでしょう。
07年7月、サブプライム問題顕在化。
08年7月、フレディマック、ファニーメイ危機。
08年9月、リーマンショック。
08年末、アメリカ自動車ビック3の危機。

◎肉を切らして骨を断つ
ここまで、アメリカと欧州・ロシアの争いを中心に、経済危機が起こるまでの流れを見てきました。
おそらく、「アメリカが没落すれば、世界恐慌になる。それでロシアも苦しいのに、なんでそんなことをするのか?」と思われるでしょう。
その気持ちわかります。
ロシアでは、アメリカ発の金融危機で株が7割も下がった。
実体経済にも相当深刻な影響が出ています。
プーチンさんには03年当時、二つの選択肢がありました。
一つ目は、米英に屈服し、ユコスをアメリカに売ってしまうこと。
そして、ロシアの石油利権を、米英に献上してしまうこと。
おそらく日本の政治家であれば、迷わずそう決断したでしょう。
(例、長銀をアメリカに10億円で売る)
しかし、ロシアには石油・ガスしかありません。
なんといってもGDPの40%、輸出の60%を石油ガスが占めている。
これを米英に渡すということは、「ロシアは米英の植民地になる」のと実質同じです。
それに、もしホドルコフスキーさんが大統領になったら、プーチンさんと側近たちはどうなります?
全員つかまってシベリア送りにされたことでしょう。(ホドルコフスキーはシベリア送りにされている。)
もう一つの選択肢は、死力を尽くして戦うこと。
プーチンは、これまで世界を牛耳ってきた米英と真剣に戦うことにした。
GDPがアメリカの10分の1しかないロシアに勝つ見込みはあるだろうか?
そうだ、ドルを基軸通貨でなくしちゃえばいい!
そういうことです。
同じことは、イランにもいえる。
フセインのイラクは「アルカイダと関係なく」「大量破壊兵器もなかった」。
でも、アメリカに攻撃され、フセインは死刑になった。
イランの上層部は、当然「次は俺たちだ」と思っている。
このように、反米諸国のトップは、「命か世界恐慌か?」と選択を迫られた。
そして、「命をとられるより、世界恐慌の方がいいや」と選択したということなのです。
米英が正しいのか、中ロ多極陣営が正しいのか?
この相対世界でそんなことを考えるのは時間の無駄です。
マフィアAとマフィアBの抗争でどっちが正しいと決めることができるでしょうか?
こんな中、極めてたくみに国際社会を泳いでいるのが、中国とインド。
日本も両国を見習い、覇権争いに巻き込まれないよう、細心の注意が必要です。
もっともよい方法は、「自立」すること。
どうやって?

  • 2009年01月18日(日)00時52分